院長より|千代田区一番町で歯科をお探しの方は【ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター】まで

医院紹介

院長よりFrom the director

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はじめに

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はじめに

当初、私は当施設のホームページの開設には消極的でした。集患に重きを置くものがネット上に散見されていたことも一因でした。
しかし、十五年以上も前に出会ったある患者さんの一言が私の考えを変えることになります。そのご婦人は、他施設で受けたインプラント療法で大変苦労された末に当施設へたどり着き、再治療を受けてご満足いただいておりました。そして、ある日このような言葉をもらされたのです。

「あなたの診療所には、ホームページがないですね。あなたが正しいことを述べられたホームページをお持ちでしたら、私が苦労することはなかったでしょう。患者が迷わないものを作ってください」

1-3

その後、ご主人様から訃報をいただきました折に、あれは私に当てた遺言であったのではないかと気付かされました。
ようやく重い腰を上げた私は、「患者が迷わないものを」という言葉の通り、集患を目的とするのではなく、「歯科に関して患者さんに賢くなっていただきたい」との願いで本ホームページを作りました。

2-1

インプラント療法の歴史

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インプラント療法の歴史

歯牙の喪失は、低栄養や審美的な問題などQOLの低下をきたすことが知られています。その修復方法として、多くの先達の創意、工夫により各種の補綴(ほてつ)装置、いわゆる入れ歯が適用されてきました。

しかし、中には入れ歯では咀嚼しづらい、違和感が拭えない、審美的に受容できないなどの問題を抱える方もいらっしゃいます。その対処法の一つとしてインプラント修復法が着目され、一九五〇年代から世界や日本においても、ごく一部の歯科医師によりインプラントが臨床応用されてきました。しかし、当時はまだ短期間内に問題を起こすなど好ましい修復法ではなく、多くの歯科医師からは疎んぜられていました。その背景には、インプラント修復法が科学的な基礎的研究に乏しかったことがあります。

2-3

 しかし、わが師であるスウェーデン、イェテボリ大学の故ブローネマルク教授の研究により、インプラント療法が飛躍的に進歩します。ここからは、時系列でご紹介しましょう。

一九六二年

生体組織の治癒機転を研究していたブローネマルク教授が、毛細血管内の血流に関する実験中に、金属のチタンが骨と直接的に結合する現象(Osseointegration)に遭遇。
以後、数多くの研究を積み重ねる。

一九六五年

臨床応用を開始。第一号患者は、適用から四十一年後に逝去するまで問題なくインプラントを使用し、まったく後遺症などもなかった。その後も多くの患者に応用される。

2-4

一九七七年

臨床応用開始から十年経過報告の論文が医学雑誌に掲載される。
その内容が従来のインプラント療法とは完全に一線を画していたことで、一部の歯科医師が注目する契機に。

一九八二年

満を持して、初めて世界の一部の歯科医師を対象に、その修復法の詳細が紹介される。
これが世界における近代インプラント法の出発点に。

現在

世界中の百社を超える会社が、独自の考え方に基づくシステムを販売。
インプラントが歯科領域における修復法の有効な一選択肢と捉えられるようになる。

2-5

わが国においては、一九八〇年から一九八三年の間、ブローネマルク教授の下に留学していた私、小宮山により一九八三年六月から臨床応用が開始されました。その年に適用した症例は、すべて追跡できなくなりましたが、一九八四年二月一日に適用した患者さんは、三十九年を目前の二〇二三年一月に九十五歳で逝去されました。その方のご子息の言葉が、今でも耳に残っています。

「母は、ほかの家人と同じ食材で、同じように調理した食事を、同じテーブルで楽しんでいます。」

言い換えるならば、個食ではないということです。十分な栄養を口から摂られて、なおかつご家族とのコミュニケーションを図れることで、健康状態だけではなく知的活動も維持されていました。

3-1

インプラントに対する私の考え

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インプラントに対する私の考え

「すべての患者さんにとって、インプラントが最善のものとは言えない」というのが私の持論です。インプラント療法に長く従事してきた人間の言葉としてはそしりを受けるかも知れませんが、歯科医師として「患者さんご自身の歯が最善のもの」という私の考えは、今でも変わりません。適切に応用するならば、インプラントは間違いなく優れた修復法と考えますが、治療の一手段でしかあり得ません。やはり、しっかりとしたメンテナンスによってご自身の歯を守ることが大切です。

そして、治療に対して何を重要視するかは患者さんに決定権があります。判断材料となる情報を正しく伝え、患者さんの意思を尊重することも重要でしょう。

3-3

三十年以上も前に、医科領域では「インフォームド・コンセント(説明を受けた上での同意)」なる言葉が使われるようになりましたが、私は当時からインプラント療法にあっては、「インフォームド・ディシジョン」あるいは「インフォームド・チョイス(説明を受けた上での患者さんの意思による選択)」が適切であろうと提唱してきました。十分な説明を受けたのちに、患者さんが熟慮されて修復法を選択しても遅くはないとの考え方です。

インターネット上には、インプラント療法の短所の低減を力説するホームページが散見されます。また、インプラントのさまざまな方法の利点が記載されたものも数えきれません。これらの状況に対し、私は音楽バンドSEKAI NO OWARIの『RPG』なる歌の中に、素晴らしい歌詞があることを思い出しました。「『方法』という悪魔にとり憑かれないで、『目的』という大事なものを思い出して」。

4-1

インプラント療法の長所と短所

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インプラント療法の長所と短所

長所に関しては、多くの歯科診療所やインプラントメーカーのホームページを参考にされることも有用と考えます。ここでは、それらには滅多に触れられていない利点を私の経験から述べます。

一 長期間にわたるQOL(生活の質)の維持

二 残っているご自身の歯(残存天然歯)の保全に有効

三 残存歯を保存しようとする動機付けになり、清掃性が向上する方が多い

四 メンテナンスの重要性を認識され、検診を受けることによる口腔トラブルの早期発見

4-3

短所に関しては、次の三点を挙げることができます。

一 完治までに期間がかかる

生体組織の治癒には時間が必要です。たとえば、骨折の治療では骨同士の結合でも時間を要します。そのため、生命体ではないチタン製インプラントと骨の結合は、骨折の治癒に比べて倍の時間がかかっても不思議ではありません。

二 外科的手術を伴う

高い衛生観念のトレーニングを受けた歯科医師が適切な環境で執刀しますので、一般的な手術なら痛みや腫れは顕著ではありません。ご帰宅後、鎮痛剤の追加服用も一回程度で済み、服用されない方も多くいらっしゃいます。ただし、骨形態、骨量あるいは骨質によっては、付加的な手術が必要になることもあります。

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三 治療費が高額になる傾向がある

公的な健康保険が適用されませんので、すべて自費診療になります。ただし、限度額があるものの医療費控除は受けられます。

高額になる要因は、インプラントそのものの費用だけではありません。外科手術時には手術室を占有し、その前準備と終了後の清掃などにも時間とスタッフの動員が求められます。また、インプラントは高い精度の上部構造(人工歯)の製作が不可欠であり、材料費および技工料金がきわめて高額になります。

しかし、適用から二十年、三十年が経過し、利点を享受している患者さんの言葉から、コストパフォーマンスについて考えてみてください。
「受診する前には高い治療費と感じていましたが、これほど長く快適に使えたことを考えますと、結局は安かったのかも知れません。入れ歯のときには何年かごとに、修理やバネのかかっている歯が不具合になると再製作が必要になりましたが、そのような心配から解放されました」

その他、術後の痛みなどの問題点も、当施設の患者さんにはしっかりとご説明の上で判断いただいております。

5-1

どのような歯科医院を
選ぶべきか?

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どのような歯科医院を
選ぶべきか?

インプラントは消耗品ではありません。長期間、生体の一部となるものです。家を建てるときのように、生涯付き合う気持ちでよいものを選ぶことが大切です。そのために、納得のいくまで歯科医師に説明を求めてください。

ここでは、歯科医院を見極める際のポイントを五つ挙げておきましょう。

一 清潔感がある

豪華という意味ではなく、医療施設としてふさわしい環境があり、診査器具などの滅菌がしっかりと行われている。清潔域、不潔域を理解している歯科医療従事者の仕事ぶりがわかるような施設にしましょう。

5-3

二 専門用語ではなく、わかりやすい言葉で説明を受けられる

一般の患者さんは、専門用語に明るくなくて当然です。わからないことは、聞き直してください。インプラントはすべての患者さんにとってベストのものではありません。治療結果に何を求めるのかをはっきり説明し、その希望に沿った治療法の長所、短所の説明を受け、そして治療法の選択肢の説明を受けた上で、ご自身、ご家族と相談の上で選択してください。

ただし、その選択肢を急かされる場合にはご注意ください。一般的にはインプラント療法を一〜二ヶ月先延ばしにしても、さほど大きな影響はないと思います。選択を急かされる背景には、医療従事者側の思惑が潜んでいるのかもしれません。十分に考える時間をいただきましょう。

5-4

三 セカンド・オピニオンを快諾してくれる

もしも医師の説明に納得ができない場合には、他施設でのセカンド・オピニオンを得てもよいか、尋ねてください。それを拒まれる場合は、患者を逃したくない、すなわち囲い込みを考えているのかもしれません。許可を得られた場合には、その施設で撮影したCTデータの複製を入手してください。もちろん資料代は請求されるかもしれませんが、度重なる放射線の被曝を避けるためです。

長きにわたりインプラント療法の利点を享受できるのか、あるいは満足できない結果となるのかの分岐点となりますので、一施設だけではなく、他施設におけるセカンド・オピニオンあるいはサード・オピニオンを得ることも重要と考えられます。しかし、ここでは注意も必要です。嫌いな表現ですが、「医療現場にあっては、後出しジャンケン」と皮肉を込めて言われている言葉があります。それは、前医よりもその後に訪ねられた医師の方が有利で、「自分の方が優れている」と強調できることだそうです。ご不明の点は遠慮せずに質問して、医師の本質を見極めてください。

5-5

四 医科の主治医との連携を重視する

患者さんの全身状態をもっとも把握しているのは医科の主治医です。現在、受診されている医科の主治医との連携(対診)を重視してくれる施設は安心でしょう。この場合は、医科で血液検査結果を含めた全身状態のデータを入手され、お薬手帳とあわせて歯科医院へお持ちください。

五 治療終了後のメンテナンスに関して説明がある

治療終了後の定期診査、メンテナンス、アフター・ケアに関しての説明を受けられることが大切です。長期間の使用の間には、口腔内環境、全身状態の変化に加えて、機械的な損傷を起こす可能性があります。それらを十分に説明する誠実さも重要なポイントです。

ブローネマルク教授は「インプラント療法における患者と歯科医師との関係は、患者が先に亡くなるか、歯科医師が先に仕事ができなくなるかまで続くもの。そのつもりで臨床に接しなさい」と教えていました。メンテナンスの重要性を理解し、患者さんの生涯にわたり向き合う覚悟のある歯科医師を選ぶようにしてください。

6-1

院長から歯科医師へ、
そして全ての方へ

6-2

院長から歯科医師へ、
そして全ての方へ

最後に、私の「遺言」ともいえる言葉を記して締めたいと思います。

一 インプラントは「最新」が必ずしも「最善」ではない。

ブローネマルクシステム以降、新たなインプラントが次々に登場しています。しかし、歯科医師は短期間の臨床データを鵜呑みにせず、安全性や有効性に関して十分に検証された、信頼に値する治療を提供する責務があります。生体組織は人間よりも賢い(目先の利益を目的とするような浅はかな治療では太刀打ちできない)ものなのです。

二 患者の喜びこそ、歯科医師の歓び

私自身がインプラントに携わってきて幸せを感じるのは、何十年も前に治療した患者さんから「インプラント療法を選んでよかった」という一言をいただく瞬間です。私たちが向き合っているのは歯ではなく、感情を持った人間です。

患者さんの利益を最優先し、QOLの向上に資する姿勢を貫き通せば、必ず正しく評価され、患者さんもついてきてくださるのです。

6-3

三 治療を急ぐ必要はない。それよりも適切な選択が大事

インプラント療法は疾病の治療のように、急いで行う必要はありません。そして、適切に応用されれば、十年、二十年という単位で生活の質を維持できるものです。

歯科医師と十分に相談し、納得のできる治療法を選択してください。

以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
本ホームページが、少しでも患者さんが適切な治療を選ぶ際の助けになれば幸いです。

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はじめに

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はじめに

当初、私は当施設のホームページの開設には消極的でした。集患に重きを置くものがネット上に散見されていたことも一因でした。
しかし、十五年以上も前に出会ったある患者さんの一言が私の考えを変えることになります。そのご婦人は、他施設で受けたインプラント療法で大変苦労された末に当施設へたどり着き、再治療を受けてご満足いただいておりました。そして、ある日このような言葉をもらされたのです。

1-3

「あなたの診療所には、ホームページがないですね。あなたが正しいことを述べられたホームページをお持ちでしたら、私が苦労することはなかったでしょう。患者が迷わないものを作ってください」

その後、ご主人様から訃報をいただきました折に、あれは私に当てた遺言であったのではないかと気付かされました。
ようやく重い腰を上げた私は、「患者が迷わないものを」という言葉の通り、集患を目的とするのではなく、「歯科に関して患者さんに賢くなっていただきたい」との願いで本ホームページを作りました。

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インプラント療法の歴史

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インプラント療法の歴史

歯牙の喪失は、低栄養や審美的な問題などQOLの低下をきたすことが知られています。その修復方法として、多くの先達の創意、工夫により各種の補綴(ほてつ)装置、いわゆる入れ歯が適用されてきました。

しかし、中には入れ歯では咀嚼しづらい、違和感が拭えない、審美的に受容できないなどの問題を抱える方もいらっしゃいます。その対処法の一つとしてインプラント修復法が着目され、一九五〇年代から世界や日本においても、ごく一部の歯科医師によりインプラントが臨床応用されてきました。

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しかし、当時はまだ短期間内に問題を起こすなど好ましい修復法ではなく、多くの歯科医師からは疎んぜられていました。その背景には、インプラント修復法が科学的な基礎的研究に乏しかったことがあります。

 しかし、わが師であるスウェーデン、イェテボリ大学の故ブローネマルク教授の研究により、インプラント療法が飛躍的に進歩します。ここからは、時系列でご紹介しましょう。

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一九六二年

生体組織の治癒機転を研究していたブローネマルク教授が、毛細血管内の血流に関する実験中に、金属のチタンが骨と直接的に結合する現象(Osseointegration)に遭遇。
以後、数多くの研究を積み重ねる。

一九六五年

臨床応用を開始。第一号患者は、適用から四十一年後に逝去するまで問題なくインプラントを使用し、まったく後遺症などもなかった。その後も多くの患者に応用される。

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一九七七年

臨床応用開始から十年経過報告の論文が医学雑誌に掲載される。
その内容が従来のインプラント療法とは完全に一線を画していたことで、一部の歯科医師が注目する契機に。

一九八二年

満を持して、初めて世界の一部の歯科医師を対象に、その修復法の詳細が紹介される。
これが世界における近代インプラント法の出発点に。

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現在

世界中の百社を超える会社が、独自の考え方に基づくシステムを販売。
インプラントが歯科領域における修復法の有効な一選択肢と捉えられるようになる。

わが国においては、一九八〇年から一九八三年の間、ブローネマルク教授の下に留学していた私、小宮山により一九八三年六月から臨床応用が開始されました。その年に適用した症例は、すべて追跡できなくなりましたが、一九八四年二月一日に適用した患者さんは、三十九年を目前の二〇二三年一月に九十五歳で逝去されました。その方のご子息の言葉が、今でも耳に残っています。

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「母は、ほかの家人と同じ食材で、同じように調理した食事を、同じテーブルで楽しんでいます。」

言い換えるならば、個食ではないということです。十分な栄養を口から摂られて、なおかつご家族とのコミュニケーションを図れることで、健康状態だけではなく知的活動も維持されていました。

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インプラントに対する
私の考え

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インプラントに対する私の考え

「すべての患者さんにとって、インプラントが最善のものとは言えない」というのが私の持論です。インプラント療法に長く従事してきた人間の言葉としてはそしりを受けるかも知れませんが、歯科医師として「患者さんご自身の歯が最善のもの」という私の考えは、今でも変わりません。適切に応用するならば、インプラントは間違いなく優れた修復法と考えますが、治療の一手段でしかあり得ません。やはり、しっかりとしたメンテナンスによってご自身の歯を守ることが大切です。

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そして、治療に対して何を重要視するかは患者さんに決定権があります。判断材料となる情報を正しく伝え、患者さんの意思を尊重することも重要でしょう。

三十年以上も前に、医科領域では「インフォームド・コンセント(説明を受けた上での同意)」なる言葉が使われるようになりましたが、私は当時からインプラント療法にあっては、「インフォームド・ディシジョン」あるいは「インフォームド・チョイス(説明を受けた上での患者さんの意思による選択)」が適切であろうと提唱してきました。

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十分な説明を受けたのちに、患者さんが熟慮されて修復法を選択しても遅くはないとの考え方です。

インターネット上には、インプラント療法の短所の低減を力説するホームページが散見されます。また、インプラントのさまざまな方法の利点が記載されたものも数えきれません。これらの状況に対し、私は音楽バンドSEKAI NO OWARIの『RPG』なる歌の中に、素晴らしい歌詞があることを思い出しました。「『方法』という悪魔にとり憑かれないで、『目的』という大事なものを思い出して」。

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インプラント療法の
長所と短所

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インプラント療法の長所と短所

長所に関しては、多くの歯科診療所やインプラントメーカーのホームページを参考にされることも有用と考えます。ここでは、それらには滅多に触れられていない利点を私の経験から述べます。

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一 長期間にわたるQOL(生活の質)の維持

二 残っているご自身の歯(残存天然歯)の保全に有効

三 残存歯を保存しようとする動機付けになり、清掃性が向上する方が多い

四 メンテナンスの重要性を認識され、検診を受けることによる口腔トラブルの早期発見

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短所に関しては、次の三点を挙げることができます。

一 完治までに期間がかかる

生体組織の治癒には時間が必要です。たとえば、骨折の治療では骨同士の結合でも時間を要します。そのため、生命体ではないチタン製インプラントと骨の結合は、骨折の治癒に比べて倍の時間がかかっても不思議ではありません。

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二 外科的手術を伴う

高い衛生観念のトレーニングを受けた歯科医師が適切な環境で執刀しますので、一般的な手術なら痛みや腫れは顕著ではありません。ご帰宅後、鎮痛剤の追加服用も一回程度で済み、服用されない方も多くいらっしゃいます。ただし、骨形態、骨量あるいは骨質によっては、付加的な手術が必要になることもあります。

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三 治療費が高額になる傾向がある

公的な健康保険が適用されませんので、すべて自費診療になります。ただし、限度額があるものの医療費控除は受けられます。

高額になる要因は、インプラントそのものの費用だけではありません。外科手術時には手術室を占有し、その前準備と終了後の清掃などにも時間とスタッフの動員が求められます。また、インプラントは高い精度の上部構造(人工歯)の製作が不可欠であり、材料費および技工料金がきわめて高額になります。

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しかし、適用から二十年、三十年が経過し、利点を享受している患者さんの言葉から、コストパフォーマンスについて考えてみてください。
「受診する前には高い治療費と感じていましたが、これほど長く快適に使えたことを考えますと、結局は安かったのかも知れません。入れ歯のときには何年かごとに、修理やバネのかかっている歯が不具合になると再製作が必要になりましたが、そのような心配から解放されました」

その他、術後の痛みなどの問題点も、当施設の患者さんにはしっかりとご説明の上で判断いただいております。

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どのような歯科医院を
選ぶべきか?

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どのような歯科医院を
選ぶべきか?

インプラントは消耗品ではありません。長期間、生体の一部となるものです。家を建てるときのように、生涯付き合う気持ちでよいものを選ぶことが大切です。そのために、納得のいくまで歯科医師に説明を求めてください。

ここでは、歯科医院を見極める際のポイントを五つ挙げておきましょう。

5-3

一 清潔感がある

豪華という意味ではなく、医療施設としてふさわしい環境があり、診査器具などの滅菌がしっかりと行われている。清潔域、不潔域を理解している歯科医療従事者の仕事ぶりがわかるような施設にしましょう。

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二 専門用語ではなく、わかりやすい言葉で説明を受けられる

一般の患者さんは、専門用語に明るくなくて当然です。わからないことは、聞き直してください。インプラントはすべての患者さんにとってベストのものではありません。治療結果に何を求めるのかをはっきり説明し、その希望に沿った治療法の長所、短所の説明を受け、そして治療法の選択肢の説明を受けた上で、ご自身、ご家族と相談の上で選択してください。

ただし、その選択肢を急かされる場合にはご注意ください。一般的にはインプラント療法を一〜二ヶ月先延ばしにしても、さほど大きな影響はないと思います。選択を急かされる背景には、医療従事者側の思惑が潜んでいるのかもしれません。十分に考える時間をいただきましょう。

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三 セカンド・オピニオンを快諾してくれる

もしも医師の説明に納得ができない場合には、他施設でのセカンド・オピニオンを得てもよいか、尋ねてください。それを拒まれる場合は、患者を逃したくない、すなわち囲い込みを考えているのかもしれません。許可を得られた場合には、その施設で撮影したCTデータの複製を入手してください。もちろん資料代は請求されるかもしれませんが、度重なる放射線の被曝を避けるためです。

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長きにわたりインプラント療法の利点を享受できるのか、あるいは満足できない結果となるのかの分岐点となりますので、一施設だけではなく、他施設におけるセカンド・オピニオンあるいはサード・オピニオンを得ることも重要と考えられます。しかし、ここでは注意も必要です。嫌いな表現ですが、「医療現場にあっては、後出しジャンケン」と皮肉を込めて言われている言葉があります。それは、前医よりもその後に訪ねられた医師の方が有利で、「自分の方が優れている」と強調できることだそうです。ご不明の点は遠慮せずに質問して、医師の本質を見極めてください。

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四 医科の主治医との連携を重視する

患者さんの全身状態をもっとも把握しているのは医科の主治医です。現在、受診されている医科の主治医との連携(対診)を重視してくれる施設は安心でしょう。この場合は、医科で血液検査結果を含めた全身状態のデータを入手され、お薬手帳とあわせて歯科医院へお持ちください。

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五 治療終了後のメンテナンスに関して説明がある

治療終了後の定期診査、メンテナンス、アフター・ケアに関しての説明を受けられることが大切です。長期間の使用の間には、口腔内環境、全身状態の変化に加えて、機械的な損傷を起こす可能性があります。それらを十分に説明する誠実さも重要なポイントです。

ブローネマルク教授は「インプラント療法における患者と歯科医師との関係は、患者が先に亡くなるか、歯科医師が先に仕事ができなくなるかまで続くもの。そのつもりで臨床に接しなさい」と教えていました。メンテナンスの重要性を理解し、患者さんの生涯にわたり向き合う覚悟のある歯科医師を選ぶようにしてください。

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院長から歯科医師へ、
そして全ての方へ

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院長から歯科医師へ、そして全ての方へ

最後に、私の「遺言」ともいえる言葉を記して締めたいと思います。

一 インプラントは「最新」が必ずしも「最善」ではない。

ブローネマルクシステム以降、新たなインプラントが次々に登場しています。しかし、歯科医師は短期間の臨床データを鵜呑みにせず、安全性や有効性に関して十分に検証された、信頼に値する治療を提供する責務があります。生体組織は人間よりも賢い(目先の利益を目的とするような浅はかな治療では太刀打ちできない)ものなのです。

6-3

二 患者の喜びこそ、歯科医師の歓び

私自身がインプラントに携わってきて幸せを感じるのは、何十年も前に治療した患者さんから「インプラント療法を選んでよかった」という一言をいただく瞬間です。私たちが向き合っているのは歯ではなく、感情を持った人間です。

患者さんの利益を最優先し、QOLの向上に資する姿勢を貫き通せば、必ず正しく評価され、患者さんもついてきてくださるのです。

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三 治療を急ぐ必要はない。それよりも適切な選択が大事

インプラント療法は疾病の治療のように、急いで行う必要はありません。そして、適切に応用されれば、十年、二十年という単位で生活の質を維持できるものです。

歯科医師と十分に相談し、納得のできる治療法を選択してください。

以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
本ホームページが、少しでも患者さんが適切な治療を選ぶ際の助けになれば幸いです。

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